リンパ腫

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横浜市青葉区、都筑区、緑区、港北区、川崎市の皆さんこんにちは。
横浜市青葉区市ケ尾町にある夕やけの丘動物病院 獣医師の大久保です。

リンパ腫は犬や猫をはじめ様々な動物に発生する腫瘍性疾患で、血液中やリンパ節のなかに多数存在するリンパ球という免疫系の細胞が腫瘍化することにより様々な症状をもたらします。

血液はからだの隅々にめぐっており、リンパ節もからだの重要な血管や臓器の付近に数多く存在するため、この腫瘍はからだのどの部分にも発生する可能性のある疾患です。発生した場所によって起こる症状は異なりますが、食欲不振や発熱、元気消失等非特異的な症状でご来院されることが比較的多いといえます。

また、からだのリンパ節が腫瘍の細胞によって大きく腫れてしまい、「からだにしこりができた」ということに飼い主さんが気づかれて来院されることもあります。

リンパ腫の治療実績

1、頻回の慢性嘔吐を主訴に来院したケース(猫の胃原発性リンパ腫

日本猫。7歳7ヶ月。去勢雄

初診時:
2カ月近くにも及ぶ頻回嘔吐を主訴に来院されました。
他院で血液検査を実施しておりその際には問題がなかったとの稟告をいただいております。
症例の全身状態はよく、可視粘膜(口腔や眼球等視認できる粘膜の色)はすべて正常で、脱水も認めず、腹部触診でも異常なしこりや異物等を確認することはできなかったため、下記の検査を行いました。

検査:
血液検査
甲状腺ホルモン検査
胸部腹部レントゲン検査
腹部エコー検査

検査結果:
各検査にて異常項目を認めず

診断:
慢性嘔吐

検査項目に異常がなかったため、顕微鏡下の病変の存在の可能性をお話ししたうえで麻酔下での内視鏡検査をご提示しました。飼い主さんとの協議の結果、まず対症療法(症状に対する治療)から実施することになりました。

治療:
制酸剤、各種制吐剤、食事の変更(アレルギー疾患の可能性も考慮)

経過:
各対症療法に反応せず

検査:
対症療法に反応がないため、再び腹部超音波検査を実施すると、胃壁の著しい肥厚(20mm以上、正常では3~4mm)と五層構造の消失、胃リンパ節の腫大が認められました。
この画像よりリンパ腫等腫瘍性疾患を疑い、胃壁に対して生検(サンプルを取って顕微鏡下の検査に出すこと)したところ、リンパ腫の疑いとの検査結果が出ました。

画像:著しく肥厚した胃壁 20mm以上の厚みがある

治療:
リンパ腫の治療においては抗癌剤が選択されるため、本症例にも抗癌剤を投与しました。

治療結果:
抗癌剤の投与後、胃壁の肥厚の劇的な改善と正常な五層構造の回復を認めました。また、数カ月にわたって毎日続いていた嘔吐が全く見られなくなりました。

様々な抗癌剤プログラムをご提示し、抗癌剤を5回投与し2回目で部分寛解(目に見える病変がほぼなくなる状態)、それ以降一部軽度の厚みのある部分は残るものの完全寛解(目に見える病変が全くない状態)を維持し、抗癌剤の投与を終了した現在も嘔吐の症状もなく非常に元気に過ごしています。

現在、ステロイドのみの投与を続けながら、定期的に超音波で再燃(腫瘍が再び活性化すること)がないか注意深く経過を追っています。

画像:抗癌剤投与後の胃壁 五層構造(縞模様)が回復し厚みも3mmに戻っている

お問い合わせ

夕やけの丘動物病院

電話番号: 045-530-9100
診療時間:9:00〜12:00、16:00〜19:00
休診日:祝日の午後
住所:神奈川県横浜市青葉区市ヶ尾町517-25

あざみ野どうぶつ医療センター

電話番号:045-530-5300
診療時間:10:00~13:00、16:00~19:00
休診日:月曜日、日曜日の午後、祝日
住所:横浜市青葉区美しが丘5-13-1 GRAN hillside 欅 1F

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