犬の肥満細胞腫

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こんにちは。夕やけの丘動物病院です。
今回は犬の「肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)」という腫瘍(しゅよう)についてお話しします。

肥満細胞腫ってどんな病気?

肥満細胞腫は、皮膚にできる腫瘍(いわゆる「しこり」)の一種です。名前に「肥満」とありますが、体型とは関係ありません。

この腫瘍は肥満細胞という免疫に関わる細胞が異常に増えてできるもので、あまり悪くないものから悪性度が高いものまで幅が広く、見た目や触った感触だけでは判断できないのが特徴です。

どんな症状があるの?

見た目はさまざまで、例えば:

皮膚の表面にできた小さなしこり
時々腫れて大きくなったり、戻ったりするしこり
赤みやかゆみを伴うものも
まれに潰れて出血し、治らない傷のように見えることもある

悪性度が高いもの場合、体の中(脾臓やリンパ節)に転移することもあります。また、まれに消化管や脾臓、肝臓から発症する内臓型も存在しています。

こんな時は早めの受診を

以下のようなしこりに気づいたら、早めのご相談をおすすめします。

しこりの大きさが変わる
急に大きくなった
いつまでもじゅくじゅくした傷
3週間以上あるが変化がない or 少しずつ大きくなっている

診断方法

肥満細胞腫が疑われる場合、まずは「細胞診(さいぼうしん)」という検査を行います。これは、しこりに針を刺して細胞を採取し、顕微鏡で確認する方法で、痛みや負担が少ない検査です。
さらに必要に応じて

病理検査(組織検査)
血液検査や画像検査(レントゲン、エコーなど)

を行い、進行度や転移の有無を確認します。

治療方法

最も一般的な治療は外科手術です。しこりの周りの正常な組織ごとしっかりと取り除くことで、再発や転移のリスクを減らすことができます。
悪性度が高い場合や、すでに転移がある場合は

抗がん剤治療
放射線治療
分子標的薬(新しいタイプの治療)

を併用することもあります。

予後(よご:治療後の経過)について

予後は「グレード(悪性度)」や「早期発見かどうか」によって大きく異なります。

低グレードの肥満細胞腫:手術だけで完治することも多く、良好な経過が期待できます。
高グレード・転移あり:より慎重な治療・経過観察が必要になります。

まとめ

肥満細胞腫は「ただのできもの」と思って放置してしまうと、進行してしまう可能性もある腫瘍です。しかし早期に発見し、適切に治療すれば、良好な結果が得られるケースも多くあります。皮膚に「ちょっと気になるな…」というしこりを見つけたときは、お気軽にご相談くださいね。

私たちは、飼い主様と皆様の大切なご家族が安心して過ごせるよう、全力でサポートいたします。

横浜市青葉区に2院を構える専門治療にも対応する動物病院グループです

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