犬の胃捻転

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命に関わる病気を正しく知って、大切な家族を守りましょう。
こんにちは。横浜市青葉区にある【夕やけの丘動物病院】です。今回は、犬にとって非常に危険な病気である「胃捻転(胃拡張・胃捻転症候群)」について解説します。この病気は突然発症し、わずか数時間で命に関わることもあるため、飼い主様が正しい知識を持つことがとても大切です。

胃捻転とはどんな病気?

犬の胃捻転とは、胃が異常に膨らんで(拡張)、さらに捻じれてしまう病気です。胃が膨らむと、ガスや食べ物が排出できず、次第に胃がねじれ、血管や周囲の臓器まで圧迫してしまいます。血流が遮断されることで全身の臓器に障害が及び、短時間でショック状態に陥る危険があります。正式には「胃拡張・胃捻転症候群(GDV:Gastric Dilatation-Volvulus)」と呼ばれます。大型犬や胸の深い犬種に多いとされますが、どの犬種にも起こる可能性があります。

胃捻転の主な原因とリスク要因

はっきりとした原因は解明されていませんが、いくつかの要因が関係すると考えられています。

体型:胸が深く胴の長い犬種(グレート・デーン、ジャーマン・シェパード、ボルゾイ、スタンダード・プードル、ラブラドール、ゴールデンレトリバーなど)は特に注意が必要です。
食事の与え方:一度に大量の食事をとる、早食い、ドライフードを一気に飲み込む、食後すぐの運動などがリスクを高めます。
年齢:中高齢の犬に多い傾向があります。
遺伝や体質:同じ犬種や血統で発生が多いケースもあります。

胃捻転の症状

胃捻転は進行が非常に速く、数時間で危険な状態に陥ります。次のような症状が見られたら、一刻も早く動物病院へお連れください。

苦しそうにして落ち着かない
よだれが大量に出る
えずく(吐きたいのに吐けない)
お腹が急に膨らんで硬くなる
呼吸が速く、浅い
ぐったりして元気がなくなる
歯茎の色が白っぽくなる(ショック状態)

これらの症状が見られた場合、時間との戦いになります。「少し様子を見よう」ではなく、すぐに動物病院へ!

胃捻転の診断と治療

診断

動物病院では、身体検査・レントゲン撮影などを行い、胃の膨らみやねじれの有無を確認します。特徴的なレントゲン像が診断の決め手となります。

治療

治療の第一歩は、ショック状態の改善です。点滴や酸素吸入で全身状態を安定させながら、胃にたまったガスを抜きます。しかし、根本的な治療は外科手術による胃の整復と固定です。胃を元の位置に戻し、再発防止のために胃を腹壁に縫い付ける「胃固定術」が行われます。胃捻転は手術をしなければ再発や致死のリスクが極めて高いため、手術が唯一の救命手段といえます。

胃捻転の予防方法

完全に防ぐことは難しい病気ですが、次のような工夫でリスクを下げることができます。

食事を一度にたくさん与えず、複数回に分ける
早食い防止食器を利用する
食後すぐに激しい運動をさせない(最低でも1時間は安静に)
適正体重を維持する(肥満はリスクを高めます)
胃捻転の多い犬種では、予防的な胃固定術を検討することもあります

飼い主様が日常的に気を付けることが、わんちゃんの命を守る第一歩となります。

もし胃捻転が疑われたら

「夜間だから明日まで待とう」
「もう少し様子を見よう」

こうした判断は非常に危険です。胃捻転は数時間で命を奪う病気です。症状に気づいたら、すぐに動物病院へ連絡して搬送してください。どんなご相談もお気軽にお声掛けください。

まとめ

胃捻転(胃拡張・胃捻転症候群)は、大型犬を中心に突然発症し、短時間で命に関わる非常に危険な病気です。原因は明確ではありませんが、食事や生活習慣の工夫である程度予防が可能です。
もし症状が出た場合は、一刻を争う緊急事態です。「迷ったらすぐに受診」これが大切な命を守るための合言葉です。
夕やけの丘動物病院では、横浜市青葉区・都筑区・緑区・港北区・川崎市エリアの飼い主様に向けて、わんちゃんの健康を全力でサポートしております。大切なご家族のために、ぜひ健康管理や予防のご相談もお任せください。

わんちゃん・ねこちゃんのお悩みは当院にご相談ください!

この症例の監修

獣医師 水上 喜子(みずかみ ゆきこ)

出身校:日本大学
飼っている動物:ラブラドールレトリバー(ごんごん)、デグー(こじこじ)。フラットコーテッドレトリバー(ピース)も以前飼っていました

水上

横浜市青葉区に2院を構える専門治療にも対応する動物病院グループです

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