犬の分離不安症

愛犬がひとりでいられない…それ、分離不安かもしれません

こんにちは、夕やけの丘動物病院です。今回は、「犬の分離不安症」についてお話しします。

「仕事から帰ったら部屋がめちゃくちゃになっていた」「近所から”ずっと吠えている”とクレームが来た」「お留守番のたびにトイレを失敗してしまう」——こんなお悩みを抱えて当院にいらっしゃる飼い主さんは、最近とても増えています。

「何度叱っても直らない」「もしかしてわざとやっているの?」と思ってしまうこともあるかもしれませんね。でも、安心してください。これは犬が悪いことをしようとしているわけではありません。飼い主さんと離れることへの強い不安や恐怖——「分離不安」——が体や行動にあらわれているだけで、れっきとした病気のひとつです。

犬はもともと、仲間と一緒にいることで安心できる動物です。家族と暮らす今の犬にとって、飼い主さんはかけがえのない「群れ」。その大切な存在がいなくなってしまうことは、犬にとってとても怖い体験なのです。まずは叱らず、「この子はこんなに不安なんだ」と気持ちをわかってあげることが、改善への大切な一歩になります。

分離不安から考えられる主な原因

分離不安になる原因はひとつではなく、いくつかの要因が重なっていることがほとんどです。

子犬のころの経験不足

生後3〜12週ごろは「社会化期」といって、いろいろな経験を吸収しやすい大切な時期です。この時期にひとりでいる経験が少ないと、大人になってからひとりになることへの不安が強くなりやすいといわれています。

生活環境が大きく変わった

引越しや家族が増えた・減った、飼い主さんが在宅勤務から出勤に戻ったなど、毎日のリズムが大きく変わったときに症状が出始めるケースがよくあります。

過去につらい経験がある

保護犬や元野犬など、かつて長い間ひとりにされたり、家族と引き離された経験のある犬は、分離不安になりやすい傾向があります。

飼い主さんへの強い依存

いつもそばにいてあげること自体は愛情の表れですが、鳴くたびにすぐ応える・ひとりにする時間がほとんどないという状態が続くと、犬が「離れること=大変なこと」と感じるようになってしまうことがあります。

家庭で気をつけたい観察ポイント

分離不安かどうかを確認するうえでのポイントは、「飼い主さんがそばにいるときは落ち着いている」かどうかです。お留守番中やひとりのときだけ症状が出るなら、分離不安の可能性が高くなります。次のようなサインが出ていないか、チェックしてみてください。

行動のサイン

激しく吠え続ける
ドアや家具を噛んで壊す
お留守番中にトイレを失敗する
部屋をうろうろし続ける

身体のサイン

よだれがひどい
お留守番中だけおなかがゆるくなる
足先をしきりになめている
留守中はごはんを食べない

外出前後のサイン

お出かけの準備を始めると急に興奮する
帰ってきたときに飛びつきが激しい
どこへ行くにもぴったりついてくる
ひとりにするとすぐ鳴き始める

※お留守番中の様子をスマートフォンで動画に撮っておくと、診察のときにとても参考になります。「どんなふうに鳴いているか」「何をしているか」が映像でわかると、より正確な診断につながります。ぜひ試してみてください。

動物病院(行動診療科)で行う検査・治療方法

「分離不安は気持ちの問題だから病院に行くほどでは…」と思っていませんか?実は分離不安は、脳の中の神経伝達物質のバランスが乱れることで起こる、れっきとした疾患です。適切な診断と治療を受けることで、多くのケースで改善が期待できます。

当院では次のような流れで丁寧に対応しています。

STEP 1まず身体の病気がないか確認します

不安や興奮に似た症状でも、甲状腺の病気やホルモンの異常、慢性的な痛みなどが原因になっていることがあります。必要に応じて血液検査や尿検査などを行い、身体的な原因をしっかり除外してから次のステップへ進みます。

STEP 2じっくりお話を聞かせてください

いつから症状が始まったか、どんな状況のときに出るか、生活環境や飼育歴など、時間をかけてお聞きします。お留守番中の動画があれば、ぜひお持ちください。また、分離不安以外の行動の問題(高齢性の認知症や特定の音・物への恐怖など)がないかも、この段階でていねいに確認します。

STEP 3その子に合ったトレーニングプランを一緒に考えます

犬の性格や生活スタイル、症状の重さに合わせて、オーダーメイドのプランを作成します。動物行動学にもとづいた、科学的に効果が認められた方法で、「ひとりでも大丈夫」と感じられる経験を少しずつ積み重ねていきます。飼い主さんが日常生活の中で無理なく実践できるよう、わかりやすい言葉でご説明し、必要に応じて書面もお渡しします。

STEP 4必要な場合はお薬も使います

症状がひどいときは、不安を和らげるお薬を処方することがあります。お薬はトレーニングをスムーズに進めるための「サポート役」であり、お薬だけで根本的に治すものではありません。効果や副作用を定期的に確認しながら、慎重に調整していきます。

STEP 5通院しながら一緒に進めていきます

分離不安が改善するまでには、数週間〜数ヶ月かかることが多いです。定期的な受診でプランを見直したり、新たな困りごとを相談したりしながら、ゴールまで一緒に伴走します。「なかなかうまくいかない」と感じても、ひとりで悩まずいつでもご連絡ください。

早めに受診してほしいサインとは?

症状が軽いうちに対処するほど、改善も早くなります。次のようなことが当てはまる場合は、早めにご相談ください。

お留守番のたびに吠え続け、近所からクレームが来ている
足先を噛んだりなめ続けたりして、傷ができている
お留守番中におなかを壊すなど、身体の症状も出ている
トレーニングを試みたが、あまり変化が見られない
高齢になってから急に症状が出てきた
どんどん症状がひどくなっている

よくあるご質問 Q&A

Q. 子犬のころからずっとお留守番が苦手です。今からでも改善できますか?

A. はい、時間はかかりますが改善できます。適切なトレーニングと、必要に応じたお薬を組み合わせることで、多くのケースで生活がぐっと楽になります。「完璧に治す」というよりも「うまく付き合えるようになる」というイメージで、焦らずゆっくり取り組んでいきましょう。

Q. お薬を飲ませることに抵抗があります。

A. お気持ち、よくわかります。症状が軽い場合はトレーニングだけで十分なことも多いので、必ずしもお薬が必要というわけではありません。処方が必要な場合も、効果や副作用、飲ませる期間などについてしっかりご説明しますので、気になることは何でも遠慮なくお聞きください。

Q. お薬はずっと飲み続けなければいけませんか?

A. 多くの場合、ずっと飲み続ける必要はありません。トレーニングが進んで症状が落ち着いてきたら、少しずつ量を減らして最終的にやめることを目指します。

Q. どのくらいで改善しますか?

A. 症状が軽めの場合は数週間〜数ヶ月、重い場合はそれ以上かかることもあります。個人差がとても大きいので、焦らず段階的な改善を目指していきましょう。

Q. 高齢の犬でもトレーニングの効果はありますか?

A. はい、シニア犬さんでもトレーニングは有効です。ただし、高齢になってから急に症状が現れた場合は、認知症(認知機能不全症候群)や体の痛みが関係していることもあります。まず身体的な原因がないかを確認することが大切です。

まとめ|愛犬の不安を、ひとりで抱え込まないでください

分離不安は、正しい診断とサポートによって必ず改善に向かうことができます。「叱っても直らない」「何をしてあげればいいかわからない」と悩んでいる飼い主さんこそ、ぜひ一度ご相談にいらしてください。

あなたの愛犬が「ひとりでも大丈夫」と思えるようになるまで、当院のスタッフが飼い主さんと一緒に寄り添いながらサポートしていきます。

横浜市青葉区、都筑区、緑区、港北区、川崎市周辺にお住まいで、分離不安症についてご相談したい場合どうぞお気軽にご来院ください。

横浜市青葉区に2院を構える専門治療にも対応する動物病院グループです

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