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こんにちは。横浜市青葉区にある「夕やけの丘動物病院」です。わんちゃんの腎臓病は年齢とともに進行するケースが多く、高齢のわんちゃんにとってはとても身近で深刻な病気のひとつです。本記事では、わんちゃんの腎臓病の仕組みや症状、治療法、そして何より大切な「早期発見」のポイントについて、分かりやすく解説します。
腎臓は、血液をろ過して体内の老廃物を尿として排出したり、水分や電解質のバランスを調整する「フィルター」のような臓器です。
腎臓病とは、その腎臓の機能が徐々に低下し、体内の老廃物や毒素をうまく排出できなくなる状態を指します。特に犬でよく見られるのが、**慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)**で、これは時間をかけて少しずつ進行していく病気です。腎臓の機能は一度壊れると元には戻らないため、早い段階での対応がとても重要になります。
腎臓病の原因はさまざまですが、以下のようなものが挙げられます。
・加齢による腎臓の機能低下(老化)
・先天的な異常や遺伝的素因
・高血圧
・慢性的な脱水
・感染症(レプトスピラなど)
・尿路結石や腫瘍による尿の閉塞
・毒性のある薬剤や中毒物質(例:ブドウ・レーズン、非ステロイド性抗炎症薬)
中でも、**シニア犬(7歳以上)**では、加齢による腎機能の低下が主な原因として知られています。当院でも、8歳を過ぎたあたりから腎臓病の兆候が見られるワンちゃんが増えてきます。
腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、病気がかなり進行するまで目立った症状が現れにくいのが特徴です。しかし、以下のような変化に気づいたら要注意です。
・お水をたくさん飲むようになった(多飲)
・オシッコの量が増えた(多尿)
・体重が減ってきた
・食欲が落ちた
・元気がない、寝ている時間が増えた
・口臭が強くなった(アンモニア臭)
・嘔吐や下痢がある
これらは腎臓病の初期から中期に見られる症状です。放っておくと、尿が出なくなったり、脱水・痙攣・昏睡などの尿毒症を引き起こすこともあります。
当院では、わんちゃんの腎臓病が疑われる場合、以下のような検査を行います。
・血液検査(BUN・クレアチニン・SDMA・リンなど)
・尿検査(尿比重、蛋白尿、UPC比など)
・超音波検査(腎臓の大きさ・構造の異常を確認)
・血圧測定
特に、SDMAという血液マーカーは、従来のクレアチニンよりも早期に腎機能低下を検出できるため、近年の腎臓病診断には欠かせません。
残念ながら、一度失われた腎臓の機能を回復させることはできません。しかし、進行をゆるやかにし、少しでも長く健康な生活を送れるようにすることは可能です。治療の基本は以下の通りです。
腎臓に負担をかけないために、タンパク質・リン・ナトリウムの含有量を制限した専用の療法食に切り替えます。腎臓病の治療において、食事管理はもっとも効果的な対策の一つといえます。
・降圧剤(ACE阻害薬など):高血圧を改善し、腎臓のダメージを抑える
・リン吸着剤:血中リン濃度の上昇を防ぐ
・制吐剤:吐き気のコントロール
・輸液(点滴):脱水状態の改善、毒素の排出
症状やステージに応じて、個別に投薬内容を調整します。
治療中のわんちゃんには、定期的な血液検査・尿検査・体重測定が不可欠です。病気の進行度や治療の効果を見ながら、柔軟に対応していきます。
腎臓病は「うまく付き合っていく」病気です。早期に発見して適切なケアをすれば、年単位で元気に過ごせる子も多くいます。
日々の生活で以下の点に気をつけてみましょう。
・水をしっかり飲めているか
・食欲や元気に変化はないか
・オシッコの量・色・回数に異常はないか
・年1回の健康診断(シニア犬は年2回が理想)
特に7歳を過ぎたら、「まだ元気だから大丈夫」ではなく、「元気な今だからこそ検査を受けておこう」という心構えが大切です。
腎臓病は早期発見・早期治療がカギです。「お水をよく飲むようになった」「最近オシッコが多い気がする」など、ちょっとした変化に気づいたら、ぜひお気軽にご相談ください。定期検診や血液検査・尿検査のみのご来院も可能です。皆さまの大切なご家族が、1日でも長く元気に過ごせるようサポートさせていただきます。
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