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トリコモナスとは原虫と呼ばれる寄生虫であり、主に消化管の細胞に寄生します。消化管の細胞内で増殖したトリコモナスは糞便中に排出されるため、糞便検査において検出されることがあります。トリコモナスは消化管寄生虫の中でも軽くて小さい病原体のため、他の多くの消化管寄生虫とは異なる検出方法で発見されるのが一般的です。子犬や子猫がペットショップやブリーダーのもとで感染してしまうことが多い疾患ですが、まれに成犬や成猫でも感染して嘔吐や下痢など消化器症状の原因となることがあります。
雑種犬 2歳齢 去勢雄
【初診時】
当日朝より元気と食欲が消失し、昼にかけて頻回に嘔吐したとの主訴で来院されました。もともと食欲は旺盛で、嘔吐物が赤く血様になっている部分もあるとのことでした。消化器周辺の超音波検査上、強い腸炎所見や、成犬で多い異物誤食による消化管閉塞を疑う所見はみとめられませんでしたが、小腸内の軽度なうっ滞が示唆されました。直腸に挿入した検温計に血液の付着があったため糞便直接塗抹法を実施したところ、トリコモナス原虫が多数検出されました。
トリコモナス原虫が動いている様子
診断:犬トリコモナス症
治療内容:原虫にも有効な抗菌薬を細菌性腸炎よりも高用量で1週間投与。
嘔吐と下痢の症状に対して制吐剤の注射および皮下点滴による補水を実施。
【1日後】
新たに頻回な下痢の症状も表れたため来院されました。糞便検査直接塗抹法上は弱体化したトリコモナス原虫が検出されたため前日の治療は有効と判断し、同治療を継続しながら腸炎治療薬と整腸剤も追加処方いたしました。
【1週間後】
嘔吐や下痢の症状は消失し、直接塗抹法にてトリコモナス原虫はみとめられませんでした。
あざみ野どうぶつ医療センター
電話番号:045-530-5300
診療時間:10:00~13:00、16:00~19:00
休診日:月曜日、日曜日の午後、祝日
住所:横浜市青葉区美しが丘5-13-1 GRAN hillside 欅 1F