巨大食道症

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横浜市青葉区、都筑区、緑区、港北区、川崎市の皆さんこんにちは。
横浜市青葉区市ケ尾町にある夕やけの丘動物病院 獣医師の嶋崎です。

ここでは、犬の消化器疾患として多い「巨大食道症」についてのご説明を致します。

巨大食道症について

蠕動収縮を伴わない食道拡張として定義されています。一般的な消化器症状の他、常に誤嚥(食べ物や水が気管に入ってしまうこと)のリスクがあるため、誤嚥性肺炎を生じることがあります。ヒトの場合の原因として、食道アカラシア、下部食道括約筋の弛緩不全により生じることが多いといわれています。一方、犬での発症は稀で、診断法として、X線検査、透視、造影X線等が挙げられます。診断時に既に誤嚥性肺炎(気管に食塊が入ることで生じる肺炎)を起こしている場合は、予後が悪く、最初の3ヶ月で半数が死亡してしまうといわれています。ただし、それを乗り越え、長期的な食事管理を行うことができれば生存率が高いともいわれています。

巨大食道症の臨床症状

・吐出(食べ物が胃内に到達せずに吐き出すこと)
・発咳
・呼吸困難
・肺炎(誤嚥による)
・嘔吐

巨大食道症の分類

・特発性(約50%)
・重症筋無力症(約25%)
・先天性(約20%)
・その他(副腎機能低下症、甲状腺機能低下症、筋炎、神経障害、皮膚筋炎、自律神経失調症、食道炎、閉塞性病変、ジステンパー、ボツリヌス中毒、毒物等により続発)

先天性巨大食道症

先天性とは、「生まれたときから」という意味で、遺伝的に一部の系統で引き継がれ、同腹仔のすべてが罹患することもあります。離乳後、即ち固形食になって初めて症状が発現することも多いため、生まれてしばらくは何の症状も無く過ごせてしまうこともあります。大型犬に好発し、ミニチュアシュナウザーとフォックステリアには遺伝性の巨大食道症が報告されています。

特発性巨大食道症

特発性とは、原因不明に発症することを意味します。中年齢~高年齢の大型犬に好発しますが、小型犬にも発生することがあります。原因は完全には解明されていないものの、食道の神経支配に何らかの異常を生じていると考えられています。

巨大食道症の診断

多くの場合、症状と特殊な触診方法により巨大食道症を疑い、X線(バリウム造影)、透視検査で診断を行います。(当院ではX線による診断を行います。)

巨大食道症の治療

基礎疾患(重症筋無力症など)がある場合はその治療を行いますが、特発性や先天性に生じている場合は、食事管理と胃瘻チューブによる緩和ケアが行われます。それぞれの犬に適したテクスチャ―の食事を、少なくとも食後30分までは起立位姿勢で与えることを推奨しています。姿勢保持椅子(ベイリーチェア)を用いることにより長期的な管理がしやすくなる場合があります。口からの採食が難しいと判断された場合には、胃瘻チューブを設置し食餌管理を行うこともあります。

お問い合わせ

夕やけの丘動物病院

電話番号: 045-530-9100
診療時間:9:00〜12:00、16:00〜19:00
休診日:祝日の午後
住所:神奈川県横浜市青葉区市ヶ尾町517-25

あざみ野どうぶつ医療センター

電話番号:045-530-5300
診療時間:10:00~13:00、16:00~19:00
休診日:月曜日、日曜日の午後、祝日
住所:横浜市青葉区美しが丘5-13-1 GRAN hillside 欅 1F

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