犬の自己免疫性皮膚疾患

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【犬の自己免疫性皮膚疾患とは?】
種類・症状・病態・診断・治療について解説!

「皮膚が赤くなっている」「かさぶたができている」「水ぶくれができている」
こんな症状でお悩みの飼い主様はいらっしゃいませんか?

もしかすると、それは犬の自己免疫性皮膚疾患かもしれません。

自己免疫性皮膚疾患とは、免疫システムが誤作動を起こし、自分の皮膚を攻撃してしまう病気です。
慢性的に症状が続きやすく、適切な治療を行わないと皮膚の状態が悪化し、生活の質が低下してしまう可能性があります。

この記事では、犬に見られる代表的な自己免疫性皮膚疾患(落葉状天疱瘡・尋常性天疱瘡・全身性エリテマトーデス・円板状エリテマトーデス)について詳しく解説します。

犬の自己免疫性皮膚疾患の主な症状

疾患によって症状は異なりますが、例として以下のようなものが見られます。

皮膚の赤み・ただれ
かさぶたができる
フケや皮膚のべたつき
皮膚が黒ずんで硬くなる
水ぶくれや潰瘍ができる
鼻の色素が抜け、皮膚がカサカサする
肉球のひび割れや炎症が起こる
関節の痛み

犬の自己免疫性皮膚疾患の種類・病態・治療法

① 落葉状天疱瘡(Pemphigus Foliaceus:PF)

犬の自己免疫性皮膚疾患の中では、比較的よく見られる疾患です。

(1) 病態

皮膚の表面にある角質細胞同士をつなぐ「デスモグレイン」というタンパク質が、免疫の異常によって破壊されることで発症します。
これにより、皮膚の細胞がバラバラになり、フケ・かさぶた・ただれが生じるのが特徴です。

(2) 症状

皮膚の表面に炎症が起こり、かさぶたやフケができる
鼻、耳、目の周り・肉球など、皮膚の弱い部分から症状が出やすい
痒みを伴うことがある

(3) 診断方法

皮膚生検

(4) 治療方法

ステロイド
免疫抑制剤
二次感染に対する抗菌薬

② 尋常性天疱瘡(Pemphigus Vulgaris:PV)

落葉状天疱瘡よりも発症頻度は低いですが、より深刻な症状が出ることが特徴です。

(1) 病態

皮膚の深い層にある「デスモグレイン3」が攻撃されることで発症します。
そのため、皮膚の奥深くにダメージが及び、水ぶくれや潰瘍ができやすいのが特徴です。

(2) 症状

口の中、唇、肉球に水ぶくれや潰瘍ができる
皮膚のただれが強く、痛みを伴う
食欲不振や元気消失を引き起こすことがある

(3) 診断方法

皮膚生検

(4) 治療方法

ステロイド
免疫抑制剤

③ 全身性エリテマトーデス(Systemic Lupus Erythematosus:SLE)

皮膚だけでなく、関節や内臓にも影響を及ぼす全身性の自己免疫疾患です。

(1) 病態

免疫システムが誤作動を起こし、皮膚・関節・腎臓・血管など全身の組織を攻撃してしまう病気です。

(2) 症状

発熱
皮膚炎、潰瘍、脱毛
関節炎(歩き方がぎこちなくなる、足を引きずる)
貧血や蛋白尿

(3) 診断方法

抗核抗体(ANA)検査
血液検査や尿検査

(4) 治療方法

ステロイド
免疫抑制剤
症状に合わせた対症療法

④ 円板状エリテマトーデス(Discoid Lupus Erythematosus:DLE)

SLEの中でも主に鼻の皮膚に症状が出ることが特徴です。

(1) 病態

主に鼻の皮膚に炎症や潰瘍を引き起こします。

(2) 症状

鼻の色が薄くなり、赤くなる
皮膚がカサカサし、ただれる
紫外線を浴びると症状が悪化しやすい

(3) 診断方法

皮膚生検

(4) 治療方法

ステロイドの外用剤
ビタミンやサプリメント
紫外線対策

早期発見・治療が大切!

犬の自己免疫性皮膚疾患は、適切な治療を行うことで症状をコントロールし、快適に過ごせるようになります。
「皮膚の赤みやかさぶたが治らない…」「口の中に潰瘍ができている」「鼻の色が薄くなっている」などの症状が見られる場合は、お早めにご相談ください。

横浜市・川崎市周辺の飼い主様へ

夕やけの丘動物病院は、横浜市青葉区、都筑区、緑区、港北区、そして川崎市の飼い主様にとって頼れる存在でありたいと考えています。いつでもお気軽にお問い合わせください。

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この症例の監修

獣医師 藤本 来夢(ふじもと らむ)

出身校:麻布大学
資格:ロイヤルカナン栄養管理アドバイザー
所属学会:一般社団法人日本獣医皮膚科学会
趣味:休日に一人で映画館に入り浸ること

藤本 来夢

横浜市青葉区に2院を構える専門治療にも対応する動物病院グループです

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